• 若齢の林分で、目的樹種とする林木の成長を妨げる不良木を除去する作業。
    • 目的樹種:育成目的とする樹種。人工林施業(植樹造林)の場合は、植栽樹種。
    • 人工林に天然更新した樹種であっても、育てる価値があると認められれば目的樹種になり得る。
  • 除伐は、目的樹種とそうでない樹種との種間競争の緩和を主とする作業である。
  1. 除伐の目的
  2. 除伐の時期・季節
  3. 除伐作業の進め方
  4. 除伐と前作業・後作業の関係
  5. 除伐作業における安全管理

7.1. 除伐の目的

  • 目的樹樹を健全に速やかに成長させる。
  • 目的樹種からなら森林を成立させる。
    • 除伐により、その森林の将来を方向付けることができる。
      • [理由]除伐後は、目的樹種だけ、あるいは目的樹種を主体とする林分になっている。

7.2. 除伐の時期・季節

  • 下刈り終了後に数年が経過した若い人工林で行う。
  • 具体的には、目的樹種とそれ以外の樹種との競合が始まった時期に実施する。
  • 除伐を実施する季節は、初夏(5~7月、寒冷地では6~7月)が最適である。
    • [理由]この季節に伐られた木本は、萌芽再生力が相対的に低い。初夏は、樹体内に蓄えられた前年の同化産物が当年の成長に使い果たされて、1年のうちで最小になっている。
    • 下刈りほど、実施季節を限定する必要はない。
      • [理由]林木の樹高が高くなっているので、除伐木が萌芽再生しても、目的樹種の樹高にすぐに追いつくことはない。

7.3. 除伐作業の進め方

  • 除伐の方針(とくに目的樹種をどのように考えるか)を決める。
    • 通常は植栽樹種を目的樹種とするが、それに固執する必要はない。
      • 経済的に優れる広葉樹などがあれば、目的樹種に加えてもよい。
      • 林地の保全や景観のために広葉樹が混交した方がよければ、それを目的樹種に加える。
      • 植栽木の成長や形質に問題がある場合、高木性樹種があれば目的樹種に加える。
  • 除伐作業は、斜面下部から上部に向かって作業を進めるとよい。
  • 目的樹種と競合している樹木、あるいは近い将来に競合すると推測される樹木を除去する。
    • 目的樹種よりも成長の速い樹種は、除伐時に目的樹種より小さくても除去する。
    • 現在、将来とも目的樹種より成長の劣る樹種は除去する必要がない。
  • 目的樹種であっても、樹幹の形状が悪い個体や病気におかされている個体などは除伐木とする。
  • 除伐木が小径木であれば、ナタやノコ、刈り払い機を用いて伐倒する。
  • 除伐木の幹の直径が太い場合は、チェーンソーで伐倒するか、巻き枯らしをおこなう。
  • 除伐木を伐る位置は、作業しやすい腰付近の高さでよい。

7.4. 除伐と前作業・後作業の関係

  • 下刈りがきちんと実施された林分は、除伐を省くことができる。ただし、その判断は現地を観察して決める必要がある。
  • 下刈りの省略や、省力的な下刈りをした実施した林分は、除伐によって林型を整える必要がある。
    • [理由]除伐の段階までに林型を整えておかないと、目標とする森林に誘導することが困難になる。
  • 除伐をしっかりと行い、その際に目的樹種の形質不良木なども除去しておけば、初回の間伐作業が楽になる。

7.5. 除伐作業における安全管理

  • 以下の点に注意して作業すること。
    • 刈り払い機・チェーンソーの操作
      • 基本的な持ち方、持ち運び方、操作方法を遵守する。
      • キックバックに注意すること。
    • 作業者どうしの間隔
      • 林木の樹高(伐倒木の長さ)を考慮し、十分に離れること。
    • 林地を移動する際の転倒・転落
    • 斜面での落石
      • 上下作業にならないように。
    • 熱中症
      • 暑い時期の、さらに日陰のない場所での作業になるので、とくに注意する。
    • 危険生物(ハチ・マムシ・マダニなど)