コンテンツへスキップ ナビゲーションに移動- 人工林と天然林
- 採取林業と育成林業
- 造林と育林
- 施業と作業
- 伐期・伐期齢・伐採齢
- 生産目標と目標林型
- 施業体系・施業基準
1.1. 人工林と天然林
- 日本では、森林を更新のしかたにより、人工林と天然林に分けることが多い。
- 民有林の「森林簿」、国有林の「森林調査簿」とも、この区分で森林を分類。
- 人工林は、人為により持ち込んだ更新材料(種子、苗木、挿し穂など)によって更新させた森林をいう。
- 天然林(広義)は、人工林以外の森林をいい、自然林(原生林)、二次林、天然生林などを包括する。
- 自然林と同義で天然林(狭義)が用いられることがあるので、注意を要する。
- 二次林は、既往の森林が破壊された後に天然力で回復して成立した森林をいい、破壊される前の森林タイプや破壊の原因は問わない。
- 二次林のうち、破壊の原因が伐採によるものを天然生林という。例えば、木曽ヒノキの天然林や秋田スギの天然林は、どちらも天然生林である。
- [理由]どちらも、伐採後に天然更新により成立した森林である。
1.2. 採取林業と育成林業
- 採取林業(=収奪林業)とは、森林の育成に人手をかけることなく、既に存在する森林から林木を収穫するものをいう。
- 育成林業とは育成林を対象とした林業をいう。育成林とは森林を育てるために人為が加えられた森林のことで、その成立由来は問わない。
- 人工林はすべて育成林であり、天然林のうち更新補助作業や保育作業が施された森林も育成林である。
1.3. 造林と育林
- 造林とは、林地における森林の更新から保育に関するすべての作業技術を含む森林管理の体系的概念を指す。これと同義で育林という用語が使われることがあるが、この意味では造林が使われることが多い。
- 造林と育林を使い分ける場合は、森林の更新に視点を当てたときに造林が、森林の保育に視点を当てたときに育林が使われる。ただし、この場合でも両者に明確な線引きはない。
- 植林は植栽による人工林の更新段階のみに当てはまる用語であるのに対し、造林は天然更新を含むすべての更新に使われる用語である。
1.4. 施業と作業
- 森林経営においては、森林施業(以下、施業とする)という概念をきちんと持つことが大切である。
- 森林施業とは、目的を持って行われる、一連の行為のこと。
- その目的を達成するための到達点が、目標林型である。
- 森林施業は、造林作業・育林作業・収穫作業からなる。
- 造林作業と育林作業は、森林を目標林型に到達させるための手段である。
- これらの作業にかかる経費は、投資の側面とコストの側面を併せ持つ。
- 収穫作業は、施業の目的を達成するための手段である。
- 森林施業における一つ一つの行為が作業である。
1.5. 伐期・伐期齢・伐採齢
- 農作物では、最適な収穫時期は生理的な熟期によって自ずと決まる。しかし、林木の収穫時期は、農作物のようには決まらない。
- 林木は、幹がある程度以上の太さになれば、いつでも収穫できる。
- 収穫されない林木は、適切な管理下にあれば、そのまま育ち続ける。
- その時に、全部を収穫してもいいし、一部を収穫してもいい。
- 林木の収穫時期は自由度が高いが、森林経営を成り立たせるためには、計画的な収穫が必要である。
- 計画的に収穫するためには、収穫時期を予め想定しておく必要がある。この想定された収穫時期が伐期齢である。
- 林業には、伐採(収穫)の時期の概念として、伐期・伐期齢・伐採齢の3つがある。
- 伐期:林木が清算目的にかなった大きさ、形質を備えるに至った時期。
- 林分に対して使われることも、林木に対して使われることもある。
- 伐期齢:林木が正常に生育した場合の主伐時の林齢、予測的に定める。
- その林分が伐期齢に到達したとしても、必ずしも主伐しなければならないわけではない。
- その時に主伐するかしないかは、また、いつ主伐するかは、経営判断によって決める。
- 伐採齢:実際に伐採された林齢。
1.6. 生産目標と目標林型
- 森林経営において、生産目標と目標林型を持つことは重要である。
- 生産目標:どのような品質・サイズの木材を収穫するかの目標。
- 大まかな径級による生産目標:小径材・中径材・大径材
- 具体的な用途による生産目標:芯持ち柱材・梁桁材・板材・合板用材・チップ用材など
- 生産目標が具体的であるほど、どのような施業をすればよいか具体的に考えられる。
- 目標林型:どのような森林を育てたいのか、その目標としての姿。
- 森林が持つどの機能を発揮させたいのかによって、目標林型は異なる。
- 木材生産を目的とする場合の目標林型は、生産目標から考えるとよい。
1.7. 施業体系・施業基準
- 人工林施業では、各地でそのためのガイドライン(施業体系・施業基準)が作られている。
- 施業体系・施業基準には、その地域で、その樹種を、その生産目標で育てる場合の、標準的な工程が示されている。
- 各現場への適用し際しては、その場所の地位などに応じて、作業時期などを調整する。
- 育成途中の管理を怠ったり、予期せぬ森林被害が発生したりして想定される林型から大きく外れてしまったときは、元の施業体系・施業基準に戻ることは困難である。
- その場合は、林分の現状を出発点として、新たな施業方法を検討する必要がある。