休眠芽・潜伏芽と葉節
休眠芽と似た用語に、潜伏芽があります。
休眠芽は、開芽しなかった芽が休眠状態で生き続けるものです。休眠芽の基部は形成層にあるので、休眠芽は幹や枝の肥大成長にともない、形成層や樹皮と一緒に外へ外へと押しやられます。
休眠芽は、樹皮が薄いうちは、樹皮の表面に確認することができます。しかし、年数が経過して樹皮が厚くなると、形成層にいる芽はだんだんと樹皮に埋もれていき、やがて、外から見えなくなってしまいます。このような樹皮に埋もれた休眠芽を潜伏芽と呼びます。
したがって、潜伏芽は休眠芽の一形態(集合で表すと、潜伏芽 ⊂ 休眠芽)です。
外からは見えない潜伏芽ですが、樹皮を剥ぐと、それは木部の表面の小さな突起として確認することができます。
ミズナラを剥皮して現れた潜伏芽
これは、かなりはっきりとした潜伏芽。開芽して後生枝となった後に枯れて、その元の部分だけが生きていて、そこに存在した芽が新たな休眠芽になったものかもしれない。
休眠芽は、もともとは、開芽しなかった側芽(葉腋に形成される芽)で、それが存在するシュートとは髄がつながっています。休眠芽が幹や枝の肥大成長にともなって外側に移動するときも、その髄はつながったままです。
その髄は、休眠芽が死んでも(芽としての機能を失っても)、材の中に痕跡のように残ります。それは、幹・枝の随からほぼ直角に出る、直径1~2mmくらいの直線的な痕跡です。したがって、材の横断面(木口)や放射断面(柾目)では線状の痕跡(bud trace と呼ぶ)、接線方向の断面(板目)では小さな丸い痕跡(pin knot と呼ぶ)となって現れます。
日本でいう葉節は、この pine knot です。葉節は、ごく小さい生節だといえます。
葉節は、休眠芽が芽としての機能を失うと、そこで途切れます。一方、休眠芽がシュートになると、そこから先は節になり、より大きな欠点となってしまいます。