頂芽優勢と休眠芽

樹木には、シュートの先端に近い芽ほど開芽しやすい頂芽優勢という性質があります。

当年に伸長したシュートの葉腋部分には、芽があります。したがって、芽は葉の数だけ存在します。この芽の多くは芽のまま冬を越すので、冬芽と呼ばれます。

翌年、冬芽は開芽し、シュートとなります。しかし、頂芽優勢という性質があるため、すべての冬芽が開芽するわけではありません。シュートの先端に近い1~数個の芽が開くだけで、シュートの元に近いところの芽はそのままのことが多いのです。

カラスザンショウの開葉

頂芽だけが開葉し(シュートになり)、側芽は開かないまま。

頂生側芽が開葉したコナラ

コナラは、シュートの先端に、大きめの複数の冬芽をつくる。これを頂生側芽と呼ぶ。
翌春に開芽するのは、ほとんどが頂生側芽。ただし、頂生側芽が全て開芽するわけではない。

開葉してシュートが伸びたクロモジ

前年のシュートの先にある芽だけがシュートになっている。
シュートの長さも、先端ほど長い。元の方のシュートはごく短く、これらは短枝になっていくと考えられる。

では、開芽しなかった冬芽はどうなるのでしょうか?

開芽しなかった冬芽は、芽の機能を備えたまま、しばらく生き続けます。このような芽を休眠芽といいます。

シュートはそれが形成された翌年以降は、肥大成長を続け、幹や枝になっていきます。このとき休眠芽は、形成層が外へ外へと移動していくのと一緒になって、外に移動します。

関連する解説

次の記事

後生枝