シュート
樹木の成長は、シュートを伸ばすところから始まります。シュートを伸ばして、葉をつけて、葉腋に芽をつくる。その芽が、新しいシュートになる。シュートにつく葉が光合成をし、その同化産物を過去に形成されたシュートに分配し、それが肥大成長となる。
このくり返しが、樹木の成長です。
シュートの伸長が始まったコナラ
前年に形成されたシュート(に形成された冬芽)から、当年のシュートが出る。
環境がいい場所では、シュートに勢いがある。
シュートを見れば、その種の成長戦略が類推でき、また、その場所の環境もわかる。
森づくりをするなら、ぜひ、シュートに着目してください。
シュートに着目すれば、森づくりを科学的に考えられるようになること、請け合いです。
それは、以下の理由によります。
- シュートは樹木の基本モジュールである。
- すなわち、樹木の体はシュートが積み重なってできている。
- シュートの形態や伸長様式は、その種の特性を反映している。
- すなわち、シュートを見れば、その種の成長戦略・生存戦略が推測できる。
- 当年生シュートに当年生の葉がつく。
- したがって、光合成能力に優れた新鮮な葉の量はシュートの数と伸長量に依存する。
- すなわち、シュートの数と伸長量が樹木の成長量を支配する。
- シュートの伸長量はその個体が置かれた環境(地位や光環境)を指標する。
- それにより、環境の改善が必要かどうかが判断できる。
樹木を観察するときシュートに着目すると、様々なことに気づくと思います。それにより、樹木に対する理解が深まり、樹木の生活をダイナミックに見られるようになるはずです。
シュートには森づくりのヒントが満載です。