森づくり・森林・樹木に関する日本語の専門用語の意味などを簡単に解説します。用語は、順に追加していきます。

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ア行

育成林(いくせいりん)
森林を育てるための人為が加えられた森林。
造林作業や育林作業が施された森林。
対象となる森林は、人工林か天然林(広義)かを問わない。もちろん、針葉樹林、広葉樹林、針広混交林といった森林タイプも問わない。
人工林は、その成立由来から全てが育成林である。天然林は、更新補助作業や除伐・間伐などの育林作業が行われた林分が育成林となる。

育成林業(いくせいりんぎょう)
育成林を対象とした林業。
人工林施業は、その典型である。

育林(いくりん) silviculture
森林を育てること。
個別技術として、下刈り、つる切り、除伐、枝打ち、間伐、雪起こしなどがある。
広義の造林は、育林の概念を含む。

一斉開葉(いっせいかいよう) simultaneous leaf emergence
その年に開く葉のほぼ全てを一斉に展開し、その後は開葉が止まるというような開葉様式。
対語は順次開葉。

一斉林(いっせいりん) uniform forest; uniform stand; regular forest; regular stand
林冠がほぼそろっている、単一樹種の林木で構成される森林。
多くは同齢林であり、その場合は同齢単純林ともいう。

異齢林(いれいりん) uneven-aged forest; uneven-aged stand
樹齢が異なる樹木で構成されている森林。
対語は同齢林。

陰樹(いんじゅ)
耐陰性の高い樹種。
多少の庇陰下の方が健全に生育する樹種もあるが、暗い環境を好むというわけではない樹種も多い。

うっ閉;欝閉(うっぺい) crown closure
林木の樹冠が互いに接し、隙間のない林冠を形成されること、あるいはその状態。
林冠閉鎖ともいう。

衛生伐(えいせいばつ) sanitation cutting
林木の健全性を向上させることを目的に、昆虫や病気の蔓延を食い止めたり、減少させたりするために樹木を除去する作業。

枝打ち(えだうち) pruning
無節材を生産するなどの目的で、枝を切り落とす作業。
生きている枝を切り落とすことを生枝打ち(いきえだうち)、枯死した枝を切り落とすことを枯枝打ち(かれえだうち)という。

枝下高(えだしたこう) clear length; bole length
最も低い位置にある、葉が正常に着いている枝の、地表からの高さ。
どの枝を最下枝とするかは、何を知りたくて枝下高を測定するかによる。例えば、樹冠の大きさを知りたいときは、ひとかたまりの樹冠を構成する枝の中で最も低い枝を最下枝とする。
枝下高率(えだしたこうりつ)
樹高に対する、枝下高の比率。

カ行

開芽(かいが) bud break; bud burst
芽が開いて、新葉が展開をはじめること。
新葉の展開と同時にシュートも伸長し始める。

改植(かいしょく)
植栽木の多くが枯死するなどして成林の見込みがない場合に、植栽をやり直すこと。

皆伐(かいばつ) clearcutting; clear cutting
あるまとまった広がりで、立木をすべて伐採する収穫の方法。
皆伐と群状択伐・帯状択伐とを分かつ面積に明確な定義はないが、1辺が伐倒木の樹高の2倍程度以上の群状、あるいは幅が伐倒木の樹高の1~1.5倍程度以上の帯状の伐採を皆伐とすることが提案(藤森2003)されている。

開葉(かいよう) leaf emergence
新たな葉が展開すること。

開葉様式(かいようようしき) leaf-emergence pattern
開葉のしかたを類型化したもの。
一斉開葉、順次開葉、それらの中間型(一斉+順次)がある。

拡大造林(かくだいぞうりん)
広義の天然林(人工林ではない森林)を伐採した跡地や原野に人工更新で森林をつくること。

画伐(かくばつ)
漸伐の一種。

下種伐(かしゅばつ)
漸伐作業における、林床に稚樹を発生・定着させるための伐採。

冠雪害(かんせつがい)
樹冠に着雪した雪の重さによって引き起こされる林木の被害。
雪圧害が成林前に発生するのと異なり、主に成林後に発生する被害。
被害形態には、幹折れ、幹曲がり、根返り、枝折れなどがあり、これらは暴風害の被害形態と似る。

間伐(かんばつ) thinning
発達過程にある林分で、主林木を間引く作業。

寒風害(かんぷうがい)
冬に、寒風にさらされた場所に発生する、植栽木が乾燥により枯死する被害。
寒風害は、寒害の一つとされるが、乾燥害でもある。
寒風害は、主に若い造林地に発生する。
土壌が凍結し、樹木が水を吸えない状態で、乾燥した風により葉からの強制的な蒸散が起こることで発生する。したがって、積雪条件下(積雪がおおむね50cm以上)では土壌凍結が生じないので、寒風害は発生しない。また、冬期に葉をつけていなければ葉からの蒸散が起こらないので、落葉樹は寒風害を受けない

ギャップ gap
林冠に形成された欠所部(穴)のこと。
林冠木が枯死したり、幹折れ・枝折れ(広葉樹の場合)・倒伏したりすることで形成される。
ギャップの大きさ(規模)は、単木~小集団~大集団と、様々である。
林冠ギャップ、林冠欠所ともいう。

ギャップ gap
林冠に形成された欠所部(穴)のこと。
林冠木が枯死したり、幹折れ・枝折れ(広葉樹の場合)・倒伏したりすることで形成される。
ギャップの大きさ(規模)は、単木~小集団~大集団と、様々である。
林冠ギャップ、林冠欠所ともいう。

胸高直径(きょうこうちょっけい) diameter at breast height 略号 DBH
成人の胸の高さで測定された、樹木の幹の直径。
日本の林業界では、地上高1.2m(北海道では1.3m)で測定する。欧米では地上高1.3mで測定することになっており、日本でも生態学者などを主に地上高1.3mで胸高直径を測定する場合もある。したがって、論文などで胸高直径を用いるときは、測定高を記載する必要がある。
斜面に生えている樹木の地上高は、斜面上側の地際を基準とする。
ふつう、輪尺または直径巻尺を用いて測定する。

極相林(きょくそうりん) climax forest
植生遷移の最終段階に到達した成熟した森林。
その土地の気候に支配される場合を気候的極相(ふつうに極相林という場合はこちらを指すことが多い)、地質や土壌条件などに支配されるものを土地的極相という。
二次林であっても、十分に遷移が進み、極相段階に達したとみられる森林は極相林といえる。

形状比(けいじょうひ)
樹高を胸高直径で除した値のことで、樹木の幹の形状を示す指標となる。
計算の際は、単位をmかcmに揃えること。例えば、胸高直径25cm、樹高20mの樹木の形状比は、80(2000cm/25cm もしくは 20m/0.25m)である。パーセントの単位をつけるのは誤り。
風害や冠雪害に対する耐性の目安や、過密林かどうかの判断基準などに用いられる。

原生林(げんせいりん) primary forest; virgin forest
天然林のうち、古くからほとんど人為の影響を受けておらず、近年に重大な災害も受けていない極相状態にある森林。
本来は人為の影響が全くない森林が原生林であるが、日本には人為の影響が全くない森林はごく少なく、少しくらいの人為が加わっていてもその影響が軽微であれば原生林として扱われることが多いようである。

後更更新(こうこうこうしん)
伐採(主に皆伐)後の更新予定面に発生した稚樹による更新方法。
対語は前更更新。

後更作業(こうこうさぎょう)
皆伐作業のように、林木の全部を伐採した後に後継樹を仕立てる方法。
対語は前更作業。

更新(こうしん) regeneration
森林の世代交代のこと。
森林の林冠層に撹乱が生じて、はじめて更新が始まる。したがって、林内に前生稚樹が存在する状態は、「更新している」とはいわない。

更新補助作業(こうしんほじょさぎょう)
天然更新において、更新を確実にするために行う作業。
地表面の光環境を整えるための刈り払い、種子が発芽・定着できるセーフサイトをつくるための地表かき起こし(地掻き)、競合植生を除去する稚樹の刈り出しなど。

後生樹(こうせいじゅ)
林冠が撹乱を受けた後に発生した稚樹。
後生樹ともいう。

後生稚樹(こうせいちじゅ)
= 後生樹

後伐(こうばつ)
漸伐作業における、下種伐の後に行う伐採。
受光伐と終伐(殿伐)が、これに相当する。

高林(こうりん) high forest
主に構造材を生産する目的で仕立てられた、高木からなる森林。
用材林とほぼ同義。

高林作業(こうりんさぎょう) high forest system
高林を仕立てる作業法。

収穫と更新の進め方により、皆伐作業、漸伐作業、択伐作業に分類できる。
わが国では、主に森林経理学の分野で使われていた用語。
用材林作業ともいう。

混交林(こんこうりん) mixed forest
林冠層において、複数の樹種が生育する森林。
混生林、混合林ともいう。
亜高木層以下に異なる樹種が存在しても、林冠層に単一樹種が強く優占する森林は、混交林とはいわない。
対語は単純林。

混植(こんしょく)
同所に、複数の樹種を同時に植栽すること。
植栽配置のデザインで、単木混植、列状混植、群状混植がある。
単木混植では、成長のいい樹種が優占していき、全ての植栽樹種からなる混交林にはならないことがある。その立地に適する樹種が不明のとき、あえてこの性質を利用して単木混植をすることがある。一方、目標林型が混交林のときは、群状混交で植えるとよい。

サ行

再造林(さいぞうりん)
人工林の伐採後に、再び人工林をつくること。
対語は拡大造林。

作業種(さぎょうしゅ)
林木の仕立て方を、収穫(伐採)と更新の過程に着目した生産方法で大きく分類したもの。
作業種には高林作業、低林作業、中林作業がある。
主に森林経理学の分野で使われていた用語であるが、この概念(高林・低林・中林の分類)は造林分野でも有用である。ただし現在、ほとんど見聞きしない用語でもある。
この場合の作業とは、植栽、下刈り、間伐などのそのときそのときに行う個別の作業(operation)という意味ではなく、methodやsystemを意味する(3)。この用語がわかりにくいのは、この概念をドイツから導入したときの訳に問題があったからかもしれない。
施業体系(造林体系)を普遍的に分類しようとすると、それは作業種と作業法を組み合わせたものになる(3)。

作業法(さぎょうほう)
作業種をさらに更新方法を主体に分けたもの。
高林作業における皆伐作業、漸伐作業、択伐作業などがこれに当たる。
この場合の作業の意味は、作業種と同様にmethodやsystemである。

残積土(ざんせきど)
基岩の風化と土壌生成作用がそのままの位置で進んで形成された土層。
段丘堆積物や火山灰などが堆積してから十分な時間が経過し、残積土に似た性質が強く表れた土層も残積土に含める(3)。
斜面上部や緩斜面で、ごく緩い傾斜の場所にみられる。

傘伐作業(さんばつさぎょう) shelterwood system; shelterwood uniform system
漸伐作業の一種で、一斉林型の林分の主伐を数回に分けて行い、その間に天然下種更新による更新を同時に図ろうとする作業法。
一つの更新面で、予備伐・下種伐・後伐(受光伐・終伐(殿伐))というように何回かに分けての伐採を行い、収穫と更新を完了させる。このうち、下種伐と終伐(殿伐)は必須。
耐陰性の高い樹種の天然更新に適した作業法で、種子は上方天然下種で供給される。
新生林は、同齢林となる。

地拵え(じごしらえ)
新植地で、植栽作業をしやすくするため、雑草木を刈り払ったり、刈り払われた雑草木と林地に残された枝条や末木を片付けたりする作業。
雑草木・枝条・末木の片付け方は、棚積み、枝条散布、巻き落とし、火入れなどの方法がある。

下刈り(したがり cleaning; weeding
新植後の造林地で、植栽木が順調に成長するよう、それと競合する植物(草本類・木本類・ササ類)を刈払う作業。
天然更新補助作業として行う、下刈りと類似する作業は刈出しと呼ばれる。

収穫表(しゅうかくひょう)
主に一斉人工林における、林齢ごとの本数密度、平均樹高、林分材積などを示す表。
地域ごと、樹種ごとに調整されている。ふつう、地位級別に、林齢5年ごとの数値が示されている。
収穫表は、その地域での標準的な取扱いがなさせることを前提としたものなので、間伐履歴などが異なると実際の本数密度や林分材積は収穫表の数値とは違ってくる。これを解消するため、林分ごとに数値を入力しての将来予測ができるシステム収穫表がつくられている。
収穫予想表ともいう。

終伐(しゅうばつ) final cutting; final felling
漸伐作業における、最後の伐採。
したがって、終伐によって漸伐作業(収穫作業と更新作業)が完了する。殿伐(でんばつ/しんがりばつ)ともいう。

収量比数(しゅうりょうひすう) 略号Ry
林分密度管理図で、ある林分の、上層木の平均樹高における最多密度での林分幹材積(収量比数1)に対する、実際の林分幹材積の比で表される数値で、林分の混み合い度の指標となる。
収量比数は、1より小さい、正の小数の値をとり、その値が大きい(1に近い)ほど、その林分が混み合っていることを示す。
林分密度管理図から収量比数を知るは、その林分の平均樹高(等平均樹高曲線)と本数密度の交点が等収量比数曲線のどの位置にあるかで、その値を読み取る。すなわち、収量比数を知るには、その林分の本数密度と平均樹高がわかればよい。
その林分密度管理図を調整する際に用いられた計算式がわかれば、計算によって求めることもできる。

樹下植栽(じゅかしょくさい)
狭義の複層林を造成するために行う、林冠下への苗木の植栽。
ふつうは、主林木となり得る高木性樹種を植えることを指す。ただし、苗木を植栽しただけでは更新にはならず、後に上木を伐採していく必要がある。
かつて、樹下植栽による複層林の造成が各地で行われたが、その多くは失敗に終わっている。その最たる理由が、後の上木の伐採が実行されなかったこと、すなわち、主伐の計画を持たないまま樹下植栽を進めたことにある。

樹冠(じゅかん) crown
個々の樹木の、枝葉の集まり。

樹型級(じゅけいいきゅう) tree class
林木を、樹冠の位置やその発達程度によって分類したもの。
主に、間伐の際、選木の基準として用いられる。
各林木を樹型級によって区分することを樹型級区分という。

樹高(じゅこう) tree height 略号 H
樹木の背の高さ。
樹木の根元の地際(斜面では斜面上側の地際)から、樹冠の最も高い場所までの地上高で表される。
幹が傾いているなどして根元位置の真上に樹冠最高点がない場合、根元からの鉛直軸に樹冠最高点を投影した高さを自然高、根元と樹冠最高点までの直線距離を樹幹長という。
ふつう、測高桿(測高ポール)や専用の樹高測定機器を用いて測定する。

樹高曲線(じゅこうきょくせん)
ひとつの林分における、林木の胸高直径と樹高の関係を表す曲線。
林分調査の際、樹高を全木で測定しないときに、ある胸高直径に対する樹高を特定するのに用いる。
横軸を胸高直径、縦軸を樹高とする散布図をつくり、両者の関係をなめらかな曲線で表す。かつては移動平均を用いて、図上で徐々になめらかな曲線にしていったが、現在では樹高曲線式に当てはめて近似させている。樹高曲線式には、ネズルント式、ヘンリクセン式(対数近似)、シュトフェルス式(累乗近似)、チェシェンドルフ式(2次多項式近似)などがある。

受光伐(じゅこうばつ)
傘伐作業において、下種伐と終伐の間に行うことがある、林床に定着した稚樹の健全性の確保、あるいは樹高成長を促す目的で、林内の光環境を改良するために行う伐採。
傘伐作業における後伐の一種。
稚樹が順調に生育している場合には、必ずしも行う必要はない。
二段林作業における同様の目的の伐採も受光伐という。

主伐(しゅばつ) regeneration cutting(1,2);final cutting(3)
同齢林において、最後にまとめて行う収穫のための伐採。
主伐を一度に行うのが皆伐作業、主伐を何回かに分けて行い、その間に更新を図るのが漸伐作業である。
従来、択伐作業では主伐(更新伐)と間伐(保育伐)との区別がない(1,2)ので、択伐作業には主伐の概念はない(3)とされてきた。しかし近年、林野庁が更新が伴わない伐採である「間伐」に対比させて、更新を伴う伐採を「主伐」とするとしたため、択伐も主伐の一つとして扱われるようになってきた。

主林木(しゅりんぼく)
その林分を構成する主要な林木。
ふつうは、高林作業において収穫の対象と考える林冠構成木のことをいう。

順次開葉(じゅんじかいよう) succeeding leaf emergence
長い期間にわたりダラダラと葉を順々に開き続ける開葉様式。
開けた場所を好む遷移初期種には順次開葉型の樹種が多い(7)。
対語は一斉開葉。

準優勢木(じゅんゆうせいぼく) codominant tree
その林分の中で、樹冠が林冠を構成するが、隣接木からの被圧により樹冠の発達がやや制約されている林木。
樹型級区分において使われる用語。
とくに同齢林において、森林を構成する林木で、周囲からの被圧を全く受けずに生育する林木はほとんど存在しないので、優勢木と準優勢木の差は相対的なものである。

上層間伐(じょうそうかんばつ)
優勢木と準優勢木を主体に間伐する間伐法。
上層間伐が択伐的間伐と同義であるとするような解釈(3、8)があるが、両者では目的が異なるので一緒にしない方がいい。
優勢木と準優勢木のどちらを主体に伐るかは、どちらが生産目標や目標林型をかなえるのに適するかによる。
優勢木間伐ともいう。

上層木(じょうそうぼく)
林冠を構成する、上方からの陽光を受けることができる林木。
林冠木、上木とほぼ同義。

上木(じょうぼく)
樹冠層が2つ以上ある林分の最上層に樹冠をもつ林木。
狭義の複層林(とくに二段林)において、使われることが多い用語。
対語は下木。

植栽密度(しょくさいみつど)
植樹造林の際の、ha当たりの植栽木の本数。

植樹造林(しょくじゅぞうりん)
苗木を植栽することで森林を仕立てる方法。

初期保育(しょきほいく)
主に植栽による人工林施業において、成林に至るまでに行う保育作業の総称。
主な作業は、下刈り、除伐、つる切り、雪起こし。

除伐(じょばつ)
目的樹種や育成木、あるいは育成木の候補木の生育環境をよくするために、その生育を阻害する樹木を除去する作業。
植栽による人工林施業では、下刈りと間伐の間に行われる、植栽木(目的樹種)とそれ以外の樹木の種間競争を緩和するための作業。この場合の主目的は種間競争の緩和であるが、植栽木であっても形質が悪かったり、病虫害におかされたりした個体も同時に除去することがふつうである。
天然林施業では、そこに生育する樹木の中から目的樹種や育成木を選び、その生育を阻害する樹木を除去する。

人工林(じんこうりん) man-made forest
植栽、播種、直ざしによって更新させた森林。
わが国の行政での対語は、天然林。

人工林率(じんこうりんりつ)
森林面積に対する人工林面積の割合。
日本の人工林率は、約40%である。

薪炭林(しんたんりん)
薪や炭を生産するために維持・管理される広葉樹林。
小径で利用できることから、短伐期で収穫と更新が繰り返されてきた。更新は、萌芽更新を主とする。

森林施業(しんりんせぎょう) forest practice; forestry practice
目的に応じて各種の作業を組み合わせて森林を取り扱うこと。
森林施業(単に施業ともいう)を構成する作業は、造林作業・保育作業・収穫作業の大きく3つに分けられる。これらは、さらに個別作業に分けることができる。例えば、保育作業には、下刈り・除伐・つる切り・間伐・枝打ち・雪起こしなどがある。

精英樹(せいえいじゅ)
同所に生育する同種・同齢の個体の中で、成長・形質などが他の個体より優れている個体。
林木育種での概念。育種目標に応じて、選抜基準が設けられる。
最初に選抜された精英樹を第1世代といい、それらを交配、あるいは交配を繰り返したものの中から選抜された第2世代以降の精英樹をエリートツリーという。

巣植え(すうえ)
狭い間隔で数本の苗木を群状に植え、群と群との間隔を広めにとる植栽方法。
耐風性や雪害抵抗性の向上、下刈りの省力化、機械作業に有利などの理由で行われる。
群状植栽ともいう。

精英樹選抜育種(せいえいじゅ せんばつ いくしゅ)
野外に生育する集団の中から、目的とする性質を持つ個体(精英樹)を選抜して、その個体・個体群から造林に供する種苗を得ようとする林木育種の手法。

整理伐(せいりばつ) salvage cutting
森林の経済的価値を高める目的で、枯死した樹木や、競争以外の要因で損傷したり衰退したりした樹木を除去すること。

施業(せぎょう)
=森林施業
広く、業務を行うことを意味するときは同じ字で「しぎょう」と読む。「せぎょう」と読む場合は林業分野以外ではほぼ使われないが、林業関係者はごく一般的・日常的によく使う言葉である。

雪圧害(せつあつがい)
積雪の圧力に起因する、林木の被害。
幼齢期・若齢期に発生し、根元曲がり、幹曲がり、根元割れ、枝抜けなどの被害形態がある。ただし、根元曲がりは多雪地で林木が生き抜くための適応形態であるともいえる。
雪圧害を受けた林分は経済性が損なわれ、被害が激しいと成林が阻害されることもある。

雪害(せつがい)
雪が原因で引き起こされる森林や林木の被害。
ふつうは冠雪害と雪圧害を指すが、なだれ被害や雪中環境に起因する生理的障害も雪害に含まれる。

前更更新(ぜんこうこうしん)
収穫のための伐採が終了する以前から存在していた稚樹による更新方法。
対語は後更更新。

前更作業(ぜんこうさぎょう)
漸伐作業のように、ほぼ一斉の森林において数回に分けて林木を伐採し、その一部が残っているうちに林内に後継樹を仕立てる方法。
対語は後更作業。

前生樹(ぜんせいじゅ) advance growth
閉鎖林冠下の林床に発生し、定着している目的樹種の稚樹。
前生稚樹ともいう。
対語は後生樹(後生稚樹)。

漸伐作業(ぜんばつさぎょう) shelterwood system
主伐を何回かに分けて行い、収穫と更新を完了させる伐採方法。
伐区の形状と伐採の進め方の違いで、傘伐・画伐(群状画伐・帯状画伐)といった手法がある。

霜害(そうがい)
植物の生育期間中の、細胞内凍結により葉や新梢がしおれる寒さの害。
春先に植物が成長を始めてからの被害を晩霜害、秋に植物が成長を休止する前の被害を早霜害という。
樹木は冬に向けて耐凍性を高めていき、冬期に細胞内凍結が生じないようにするが、耐凍性は春になると低下する。早霜害は耐凍性を十分に獲得する前に、晩霜害は耐凍性が解除された後に発生する。

タ行

耐陰性(たいいんせい)
植物が弱光条件下で成長する、また生存できる能力。
明るいところを好む、耐陰性の低い樹種を陽樹、暗いところでも生活できる、耐陰性の高い樹種を陰樹という。
耐陰性は耐性(能力)の有無や程度を示す用語であるので、陰樹を指して「耐陰性の樹種」と表現することは誤った使い方である。

耐凍性(たいとうせい)
植物が氷点下の低温になっても凍結せずに生存できる能力。
耐凍性は、秋から冬にかけて、日長時間の減少や気温の低下により徐々に高まっていき、春に向かい気温が上昇するのに伴って低くなり、開葉後には失われる。

択伐(たくばつ) selection cutting
収穫に適した林木を選択して伐採する収穫の方法。
収穫木の選択が個体単位のときを単木択伐、パッチ状の集団のときを群状択伐、幅のある列のときを帯状択伐という。
群状択伐と小面積皆伐、帯状択伐と帯状皆伐との違いを示す明確な定義はないが、群状なら上木の樹高の2倍くらいまでの直径または一辺、帯状なら上木の樹高の1~1.5倍くらいまでの幅であれば択伐とするという提案(藤森2003)がある。

択伐作業(たくばつさぎょう) selection system
択伐により収穫と更新を進めていく作業法。
単木的に収穫・更新する単木択伐作業、群状に収穫・更新する群状択伐作業、帯状に収穫・更新する帯状択伐作業がある。

択伐林(たくばつりん) selection forest
択伐作業によって成立した森林で、様々な樹齢・サイズの林木によって構成される異齢林。
ふつうは、単木択伐により維持される森林を指す。

択伐林型(たくばつりんけい)
択伐林として維持されている森林の姿。
択伐林は、いつ見ても同じような林分構造を呈することで収穫の保続を実現している。その林分構造は、逆J字型の胸高直径階分布となる。
単木択伐林施業での目標林型である。
過伐、もしくは長期にわたる収穫(伐採)の停止があると、その林型は崩壊する。

択伐林施業(たくばつりんせぎょう)
択伐により収穫と更新・保育を繰り返す森林施業。

単純林(たんじゅんりん)
主林木が単一樹種からなる森林。

単木択伐作業(たんぼくたくばつさぎょう)
単木的に選んだ択伐木を伐採・収穫する択伐作業法。
伐採により生じる林冠ギャップが小さいので、林型を大きく壊さない反面、更新樹種には耐陰性が高いことが求められる。
点状択伐作業ともいう。

地位(ちい) site quality
林地の生産力を示す概念。

地位級(ちいきゅう) site class
地位を等級区分で表現したもの。
3~7等級に区分されることが多い。ふつう、地位級別樹高成長曲線を使って読み取る。

地位指数(ちいしすう) site index
基準となる林齢のときの樹高(上層木の平均樹高)をもって地位を表したもの。
スギとヒノキでは林齢40年、カラマツでは林齢35年を基準とすることが多い。

稚樹(ちじゅ)
ふつうは、天然生の小さな樹木を指す。

中林(ちゅうりん) coppice with standards
高林と低林を階層的に組み合わせた森林。
高林を構成する林木は用材、低林のそれは薪炭材として収穫される。
高林の1伐期のなかで、低林では複数回の伐採が行われる。

長伐期施業(ちょうばっきせぎょう)
伐期齢を高めに設定して取り組む森林施業。
通常は、大径木生産を目的とする。
伐期齢が何年以上を長伐期施業とするかは定義されていないが、森林計画制度においては、その地域・樹種の標準伐期齢のおおむね2倍の林齢までは主伐を行わないものを長伐期施業としている。

つる切り(つるきり)
林木に巻き付いた、あるいは絡まったつるを切断し、林木から外す作業。
つるによる林木の被害は林木の経済的価値を著しく損ねるので、林木に被害を与えうるつる植物が多い造林地では、つる切りは森林経営上の重要な作業である。

定性間伐(ていせいかんばつ)
樹型級や幹の形状、幹の欠点の有無などを基準に選木する間伐法。
間伐木の選び方によって、下層間伐、上層間伐などに類型化されている。

定量間伐(ていりょうかんばつ)
先に間伐する林木の割合や本数、材積を決め、それを目標に間伐木を選ぶ、もしくは機械的に間伐木を決める間伐法。
量的な目安に基づくとはいえ、列状間伐などの機械的間伐ではない場合には、定性間伐に準じて選木するのがふつうである。
列状間伐などの機械的間伐ではない場合、定性間伐に準じて選木することが多い。

低林(ていりん) coppice
萌芽更新で成立する、短い伐期で薪炭材を生産するために仕立てられた、林分高の低い森林。
薪炭林と同義。
対語は、高林。
同所において、低林作業と高林作業を組み合わせて行うものを中林作業という。

天然下種(てんねんかしゅ)
自然の力で、林地に種子が散布されること。
同一林内の林木に由来する種子散布を上方天然下種、周辺の林分に由来する種子散布を側方天然下種と呼ぶ。

天然下種更新(てんねんかしゅこうしん)
自然に散布された種子に由来する森林の更新。
自然界でふつうに発生する現象であるが、ある程度は人為的に制御することもできる。そのための作業を天然更新補助作業という。

天然更新(てんねんこうしん) natural regeneration
更新のための材料を人為で持ち込むことなく、自然の力によってなされる森林の更新。
天然下種、萌芽、伏条などによる森林の更新。
対語は人工更新。

天然更新補助作業(てんねんこうしんほじょさぎょう)
天然更新の確実性を高めたり、それを促進したりするために行う作業。
林床植生の刈払い、地表のかき起こし(地掻き)などの地表処理、稚樹の刈出し、萌芽整理などの作業がある。

天然生林(てんねんせいりん) natural regenerated forest
森林が伐採された後に、人為によらずに再生した森林。
二次林の一つのタイプ。
日本の天然林(広義)の多くは二次林であり、さらにその多くは、過去に伐採を経験している天然生林である。
ここでは、伐採後に天然更新で成立したものを天然生林とした(文献1・2・3・6がこの立場)が、森林が撹乱された原因を問わず(すなわち自然撹乱を含む)撹乱後に天然更新によって成立した森林を天然生林と呼ぶとする解説(文献4・5)もあり、この部分での混乱がみられる用語である。
ここには英語の用語にnatural regenerated forestをあてたが、それに対応させるなら後者の解釈が妥当であろう。
最近、林野庁が、天然更新によって成立した森林に保育作業が加えられたものを天然生林と呼び始めた(文献8がこの解釈を採用してしまった)ので、混乱に拍車がかかりそうである。

天然林(てんねんりん) natural forest
天然更新によって成立した森林。
わが国の行政における森林区分やそれに端を発する林業界では、人工林以外の森林を天然林としている(ここでは、それに従った)。この意味において、天然林は人工林の対語であり、天然林には原生林と二次林が含まれる。
これに対して、原生林の同義に天然林が使われることがあるので、注意を要する。

展葉(てんよう)
開葉した葉が展開する過程、または展開しきった状態。
葉の展開は、開芽~開葉~展葉の順に進んでいく。
展葉数というときは、開いた葉のことを指す。
展葉と開葉は、同義で使われることも多いようである。

凍害(とうがい)
冬の低温による細胞内凍結が原因で、細胞が壊死する寒害。
樹木は冬期に耐凍性を獲得しているので、氷点下の気温になれば凍害が発生するというものではない。
樹木が凍害を起こさずに低温に耐える能力を耐凍性という。

倒木更新(とうぼくこうしん)
倒木の上に発生した稚樹による森林の更新。
腐朽したり、コケがついたりした倒木の上は、実生の発生・定着に有利なことから見られる現象。とくに、亜高山・亜寒帯の針葉樹によく見られる。

頭木更新(とうぼくこうしん)pollarding
樹幹を高い位置で伐り、その位置に発生する萌芽を仕立てる方法。
頭木更新によって仕立てられた樹形を「あがりこ」と呼ぶ。
台株更新ともいう。

同齢林(どうれいりん) even-aged forest; even-aged stand
主林木の樹齢が、ほぼ同じである森林。
わが国の人工林のほぼ全てが、また、天然生林の多くは同齢林である。

凍裂(とうれつ)
寒害の一種で、厳冬期の低温により、樹幹が縦に裂ける現象。
北海道のトドマツ、本州のスギによく見られるが、他の樹種でも発生する。
避けた部分に癒合組織ができるとその部分が盛り上がり、これを「へび下がり」と呼ぶ。

ナ行

苗木(なえぎ)
植栽するためにつくられた小さな樹木。
何からつくられたかという由来によって、実生苗、さし木苗、接ぎ木苗、取り木苗などに分類される。
また、育て方や出荷時の形態によって、裸苗(普通苗)、コンテナ苗、ポット苗、チューブ苗などがある。

二次林(にじりん) secondary forest
既往の森林が破壊された後に、人為によらずに再生した森林。
森林が破壊された原因(人為か自然災害か)は、問わない。
伐採後に天然更新で再生した森林をとくに天然生林と呼ぶ。

二段林(にだんりん)
狭義の「複層林」において、上層(林冠層)と下層(低木層)の2層からなる林分。

抜き伐り(ぬきぎり)
= 択伐

ハ行

伐期(ばっき)
森林あるいは林木を伐採利用するのに適切な時期、あるいはそれに到達している状態。
伐期齢や標準伐期齢のことを伐期と言うことがよくあるが、その使い方は誤り。

伐期齢(ばっきれい)
林業経営の計画を立てる上で予定する、主伐時の林齢。
同齢林の、皆伐作業かそれに類する作業種における概念であり、択伐作業には伐期齢という概念は存在しない。
生理的伐期齢、工芸的伐期齢、材積収穫最多の伐期齢の他、様々な観点によるいくつもの伐期齢が提案されてきた。
当該林分が伐期齢に到達したからといって、必ずしもその時点で主伐を行わなければならないというものではない。実際に伐採されたときの林齢は、伐採齢という。
よく標準伐期齢と混同されて使われる用語であるが、伐期齢はそれぞれの林分に対して個別に設定されるものである。

伐区(ばっく)
皆伐作業や傘伐作業で、主伐が行われる伐採面。

伐採齢(ばっさいれい)
主伐が行われたときの、その林分の林齢。
伐期齢が予測的に定められるのに対し、伐採齢は結果として示される。

標準伐期齢(ひょうじゅんばっきれい)
市町村森林整備計画において、地域の標準的な伐期齢として、主要樹種別に定められるもの。
平均成長量が最大になる林齢を基準として、既往の平均伐採齢などを考慮し、5の倍数で定める。
市町村森林整備計画で定める標準伐期齢の基準になる林齢は、地域森林計画で示される。
制限林の伐採規制や造林補助の基準林齢として使われる。個別の林分に対して、適切な収穫時期を示すものではない。

風害(ふうがい)
風が原因で引き起こされる森林や林木の被害。
暴風害を指すことが多いが、常風害もこれに含まれる。

複層林(ふくそうりん)
樹冠層が2層以上ある森林。
最も混乱している林業用語の一つ。
林業技術としての複層林(狭義の複層林)は、目的樹種の樹冠層が2層以上にわたって存在する森林を指し、これは非皆伐施業として実施される。目的樹種の樹冠層が2層のものを二段林、3層以上のものを多段林、層を区分できないものを連続層林と呼ぶ。多く造成されたのは樹下植栽による二段林で、その林型は、本来、更新期間における一時的な姿である。
一方、下層が目的樹種であるかどうかは問わず、階層構造ができている森林も複層林である。
従来、行政では複層林と言えば狭義の複層林を指すことが多かったが、最近になって両者を区別せず、あるいは混同して複層林という用語が使われているところに混乱の源がある。
さらに最近、「育成複層林」なる用語を林野庁が使い始めたことで、混乱に拍車がかかっている。

萌芽(ぼうが;ほうが) sprout; sucker(根から発生する萌芽)
(1)草木の芽が開葉すること。
この場合は、「ほうが」と読むことが多い。
(2)樹木の根元や根からシュートが発生すること、またはそのシュートのこと。
高木性樹種では、広葉樹の伐り株から発生することが多いが、樹種によっては健全な個体の根元に発生することがある。針葉樹では、コウヨウザンで健全木の根元や伐り株から萌芽が発生する。低木性樹種で株立ち状の樹形になるものは、ごくふつうに萌芽を発生させ、幹の新陳代謝を図っている。
そのシュートは、萌芽枝やひこばえと呼ばれることもある。
根元から発生するシュートの多くは休眠芽に、根から発生するシュートは不定芽に由来する。
こちらの意味で使う場合は、「ぼうが」と読むことが多い。

萌芽林(ぼうがりん) coppice forest
萌芽更新によって成立した森林。

萌芽更新(ぼうがこうしん) coppicing
伐り株の根元や根から発生する萌芽により森林を仕立てる方法。
伐り株の根元からの萌芽は定芽(休眠芽・潜伏芽)、根からの萌芽は不定芽に由来するものが多い。

崩積土(ほうせきど)
斜面上部から移動してきた土砂や石礫、土壌が堆積した土層。
斜面下部や谷底緩斜面にみられる。
スギやケヤキの植栽適地であることが多い。

暴風害(ぼうふうがい)
暴風によって引き起こされる森林や林木の被害。
台風や温帯低気圧に伴う暴風の風圧によって引き起こされる。
幹折れ、根返りの被害形態を指すことが多いが、枝折れや幹曲がりもみられる。
単に風害ということもある。

匍行土(ほこうど)
斜面上部から移動してきた土砂や石礫と、斜面下部へと移動していく土砂や石礫がほぼ動的平衡状態にある土層。
斜面中部にみられる。

補植(ほしょく)
新植後に、活着不良で苗木が枯死したり、苗木が獣害や気象害を受けたりした場所に、再度、苗木を植えること。
最初に植栽された苗木が育って大きくなっている場合の補植は、それらのサイズに劣らない大きめの苗木を植えるようにする。

細り(ほそり)
樹幹の、上部にいくにつれて直径が細くなっていく、その細くなり方。

細り表(ほそりひょう)
樹幹の高さごとの直径(上部直径)を読み取ることができる表。
胸高直径、樹高、直径を知りたい高さの3変数でつくられる。
胸高直径は樹皮込み(皮付き)の値で示されるが、上部直径は皮なし直径で示されることが多い。これは、細り表が造材(玉切り)を想定したときの末口径を上部直径という形で推定するために用いられることによる。

マ行

埋土種子(まいどしゅし)
過去にその林地に散布され、土壌中で休眠し、発芽条件が整うまで発芽せずに、発芽の機会を待っている種子。
埋土種子の種組成や数は、表層土壌を採取し、播き出し法かふるい選別法により知ることができる。

実生苗(みしょうなえ)
種子を発芽させてつくる苗木。

目回り(めまわり)
樹幹にかかる応力により生じる、年輪に沿って円上あるいは円弧状に現れる木部の割れ。

揉め(もめ)
樹幹にかかる応力により生じる、軸方向に対して直角方向に現れる木部繊維の破断。

ヤ行

矢高(やだか)
丸太や製材品の曲がりの程度を示す指標。
平らな面に、曲がりの内側を下側にして原木を置いたときにできる空間の、水平面からの高さで表す。

山引き苗(やまびきなえ)
天然下種により発生した実生稚樹を掘り取り、植樹造林に供しようとする苗木。
採取した稚樹をそのまま植栽する場合と、苗畑で養生した後に植栽する場合とがある。

山行き苗(やまゆきなえ)
植樹造林に供するために出荷される/出荷された苗木。
山出し苗ともいう。

優勢木(ゆうせいぼく) dominant tree
その林分の中で、樹冠が林冠を構成し、なおかつ隣接木からの被圧を受ける度合いが小さい、樹冠がよく発達した林木。
樹型級区分において使われる用語で、優勢木を優勢木(樹冠が比較的自由に発達している林木)と準優勢木(樹冠の発達にやや制約を受けている林木)とに分けることもある。
対語は劣勢木。

優占種(ゆうせんしゅ)
生物群集において個体数やバイオマス量が他に抜き出て多い種。
森林の場合は林冠層での優占度が高い種によって、スギ林とかブナ林、アカマツ・コナラ林などと表現する。

用材林(ようざいりん)
建築材や家具材などに利用する木材を生産することを目的とする森林。

陽樹(ようじゅ)
耐陰性が低い、強光下での発芽・成長に適応した樹種。

幼樹(ようじゅ)
稚樹よりは大きいが、まだ成熟していない樹木。
主に樹高で区分されるが、明確なサイズの基準はない。

ラ行

立木(りゅうぼく)
林地に生育する樹木。

林縁(りんえん)
森林が森林以外の場所に接するときの、森林の縁の部分。
林縁に沿った林外部に発達する低木の群落を袖群落、林縁の外側を垂直に覆うように生育するつる植物の集まりをマント群落という。

林縁木(りんえんぼく)
林縁部を構成する林木。
当初から林縁木として育った林木は、林外側の枝が枯れ上がらず、林内と林外を遮断するような形の樹冠になる。それに対して、林分の一部が伐採されるなどして新たに林縁木になった林木は、林内で育った名残で枝が枯れ上がっている。

林冠(りんかん)
森林の最上層を構成する高木(林冠木)の樹冠の連なり。

林冠木(りんかんぼく)
林冠を構成する林木。

林種(りんしゅ)
森林の、成立状態による区分。
狭くは行政(森林計画)で使われる用語で、森林簿やそれを基にした林業統計で目にすることが多い。この場合、林地を立木地(さらに天然林、人工林)、無立木地(さらに伐採跡地、未立木地)、竹林に区分する。
広くは、林相とほぼ同義。

林床(りんしょう)
森林内の地表面。

林相(りんそう)
視覚でとらえられる森林の様相。
森林は、樹種、林冠の状態、森林の発達段階、森林施業などによって異なる姿を呈し、林相とはそれを表したものであるといえる。

林分(りんぶん) stand
林相が一様で、周辺の森林と区別できる、まとまりのある森林。

林分密度管理図(りんぶんみつどかんりず)
人工林の密度管理の指標として考案された図。
横軸に本数密度、縦軸に林分材積を両対数軸でとった面に、自然枯死線、等平均樹高曲線、等平均直径曲線、最多密度曲線、等収量比数曲線が示されている。地域別、樹種別につくられている。

林木(りんぼく) forest tree
林分を構成する、収穫の対象となる高木性樹種の樹木。

林齢(りんれい) stand age
林分が更新を始めてからの経過年数。
植栽による人工林の場合、植栽時を1年とし、苗木の齢は加えない。
わが国では、森林簿(民有林)や森林調査簿(国有林)に各林分の林齢が記されており、その林分が主伐されるまでは、毎年の3月31日を過ぎると林齢が1ずつ増えていく。これが、齢級分布を集計するときの基礎となっている。
実際の森林施業では、林齢よりも林木のサイズによって作業の適期などを判断するのが合理的で望ましいと考えるが、林齢の呪縛からなかなか解き放たれずにいるのが現状である。

齢級(れいきゅう) age class
林齢を一定間隔ごとにくくって表したもの。
わが国では、林齢を5年ごとに区切った齢級が使われており、1~5年生をⅠ齢級、6~10年生をⅡ齢級というようにローマ数字で表す。

劣勢木(れっせいぼく) intermediate tree:狭義の劣勢木
周囲の林木から被圧を受け、樹勢が衰えた林木。
樹型級区分において使われる用語で、劣勢木を劣勢木(樹冠上方が被圧されていない林木;介在木ということもある)と被圧木(樹冠上方が他の林木の樹冠に覆われている林木)とに分けることもある。
対語は優勢木。

ワ行

参考文献

  1. 林業百科事典. 日本林業技術協会編. 丸善. 1971.
  2. 森林・林業百科事典. 日本林業技術協会編. 丸善. 2001.
  3. 森林の百科事典. 太田猛彦・北村昌美・熊崎実・鈴木和夫・須藤彰司・只木良也・藤森隆郎 編. 丸善. 1996.
  4. 森林学の百科事典. 日本森林学会 編. 丸善. 2021.
  5. 森林・林業・木材辞典. 森林・林業・木材辞典編集員会 編. 日本林業調査会. 1993.
  6. 生態学事典(増補改訂版). 沼田真 編. 築地書館. 1974.
  7. 生態学事典. 厳佐庸・松本忠夫・菊沢喜八郎・日本生態学会 編. 共立出版. 2003.
  8. 森林総合科学用語事典(第五版). 関岡東生 編. 東京農業大学出版会. 2023.
  9. 新版 林業実務必携. 東京農工大学農学部林学科 編. 朝倉書店. 1978.
  10. 林業実務必携(第三版). 東京農工大学農学部林学科 編. 朝倉書店. 1987.
  11. 森林・林業実務必携(第2版). 東京農工大学農学部 森林・林業実務必携編集委員会 編. 朝倉書店. 2021.

引用文献

藤森隆郎(2003)新たな森林管理-持続可能な社会に向けて-.全国林業改良普及協会.