森づくりとは、人が関与して森をつくることを言います。しかしその実、森づくりにおいて、人にできることは限られています。

人が関与しようがしまいが、自然の中で樹木は勝手に育ち、森林は自律的に変化していきます。それは、人が植栽してつくった人工林であってもです。森づくりは、この樹木の成長や森林の変化を上手に制御することに他なりません。

私たちは、樹木や森林の全てを理解できているわけではありません。しかし、わかっていることもたくさんあります。樹木に関しては、樹木の体がどのようにできているのか、樹木はどのように成長するのか、それが樹種によってどう違うのか、といった基本的なことの多くはわかっています。森林が発達する過程で、そこに生育する樹木がどう振る舞うのかや、その振る舞いを制御するにはどのような方法があるのかについても、たくさんのことがわかっています。これらは皆、科学的な知見として存在しているのです。

森づくりとは、科学的な知見を駆使して、樹木の成長や森林の変化を制御する科学技術です。

科学技術と言っても、それがガチッとしたものでなければならないと身構える必要はありません。森づくりは、自由で、かつ、多様であっていいと思います。しかし、何でもありというわけではありません。できないことは、できません。やってはいけないこともあります。

要は、基本となる原理・原則を外さないこと。その上で(その中で?)、何をするといいのか、何をしたらいけないのかを考えることが、森づくりのキモだと思います。

こうしたことを踏まえ、森づくりをいろんな角度から見てみましょう。